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シミュレーションによる課題解決と基礎研究-見えない現象を解き明かす/住山さん

シミュレーションによる課題解決と基礎研究-見えない現象を解き明かす/住山さん

日々進化し続ける研究・開発分野において、最先端の技術と情熱をもって挑み続けるTOYOBOの研究・開発者たちは、個性豊かで多彩な魅力にあふれています。
「“変化を楽しむ”研究・開発者ストーリー」は、キャリアの中で起きた“変化”を通して、彼らの仕事に対する思いや、その背景にある一人ひとりのストーリーを紹介する連載です。

フーちゃん

フーちゃん

お待たせしました、研究・開発者シリーズ第4回! 今回は、「シミュレーションセンター」の住山さんにお話を聞きます。社外との交流を広げながら、さまざまな経験を重ねてきたそうよ。

オー太

オー太

シミュレーションセンターって、どんな仕事をしているの?

フーちゃん

フーちゃん

実験では見えない現象や、実際には試すのが難しい条件をコンピュータ上で再現し、解析することで、素材開発や設備設計を支えているの。TOYOBOのモノづくりを支える技術基盤の一つなんだって。

オー太

オー太

いろいろ教えてもらおうっと!

Index目次

東洋紡の住山さんのポートレート

住山(すみやま)さん
東洋紡株式会社 コーポレート研究所 プロセッシング創発ユニット シミュレーションセンター リーダー
2012年入社。学生時代は化学工学を専攻。入社後はシミュレーションセンターに所属し、TOYOBO全社の技術課題の解決を支援するほか、産官学連携プロジェクトにも参加している。プラスチック成形加工学会 第8回(2025年度)「若手奨励賞」を受賞。休日は家族でキャンプや旅行を楽しんでいる。

化学工学を専攻し、基礎研究者を志してTOYOBOへ

フーちゃん

フーちゃん

住山さんは学生時代どんな研究をしていたんですか?

住山:化学工学という分野で、塗装液がどう乾くかを予測するシミュレーションを開発していました。どんな素材をどう作るかといった知識は、今の仕事にもつながる部分かなと思います。当時は、将来、基礎研究をする研究者になりたいと思っていました。

オー太

オー太

研究ができる会社は他にもあると思うけど、TOYOBOを選んだ理由は何だったんですか?

笑っている住山さん

住山:繊維やフィルムといった身近な製品の開発に携われることに魅力を感じたことですね。また、研究部門で働きたいという希望を叶えられる環境だったことも決め手になりました。入社前の説明会で接した担当者の方々の印象がよく、働きやすそうな会社だと感じました。

フーちゃん

フーちゃん

実際に働いてみて、入社前のイメージとのギャップを感じたことはありましたか?

住山:人間関係については、皆さんとても親しみやすく、ギャップは感じませんでした。一方で、業務内容については、学生時代の研究の延長線上にあるものだと思っていたのですが、実際には自社製品に関する知識に加え、数学や物理の知識も必要で、入社当初は戸惑うことも多かったです。先輩方に助けていただきながら一つひとつ学んでいきました。

オー太

オー太

そうした経験の積み重ねが、今につながっているんですね。

住山:それから、社内のさまざまな部門の方々と対話する機会がこれほど多いとは想像していませんでした。ただ、もともと人と話すのは好きなので、今は、多くの人とコミュニケーションを取りながら仕事を進められる点にやりがいを感じています。

シミュレーション技術で開発や設備設計を支える

オー太

オー太

ところで、TOYOBOのシミュレーションセンターって何をするところなんですか?

東洋紡総合研究所
シミュレーションセンターがある総合研究所

住山:シミュレーションセンターは、TOYOBO全社から寄せられるさまざまな技術課題に対して、シミュレーション技術を活用して支援する部署です。例えば、コンピュータ上で模擬実験を行ったり、生産設備の中を見える化したりすることで、研究開発の促進や生産設備の提案などを行っています。メンバーそれぞれの専門性を生かしながら幅広い技術課題の解決に取り組んでいます。

フーちゃん

フーちゃん

最近は素材開発がますます複雑になってきているようですね。各部門が抱える問題も難しくなっているんじゃないですか?

住山:そうですね。そうした状況に対応するため、シミュレーション技術の高度化を目指して、産官学連携による研究を進めています。当センターでは、共同研究に積極的に取り組んでいて、その成果を社外に発表する機会が多いんですよ。

フーちゃん

フーちゃん

外部との連携が進むようになった背景はありますか?

住山:2024年に、文部科学省から科学研究費助成事業(科研費)(※1)への応募資格を持つ研究機関として指定されました。化学系素材メーカーとして、シミュレーション分野では初めての事例(※2)です。

フーちゃん

フーちゃん

科研費に応募できるようになり、より幅広い産官学連携や基礎研究に取り組める環境になったんだね!

※1:科学研究費助成事業(科研費)は、人文・社会科学から自然科学まで幅広い分野を対象に、研究者の自由な発想に基づく学術研究を支援する競争的研究資金制度です。
(出典:文部科学省「科学研究費助成事業(科研費)」

※2:2024年9月19日付 当社ニュースリリース 「コーポレート研究所シミュレーションセンター」が 科学研究費助成事業(科研費)研究機関に指定

オー太

オー太

住山さんが普段どんなお仕事をしているのかも知りたいです!

実験とシミュレーションの比較図
(コンピュータ上で)変形形状を再現できる

住山:私が担当する業務はさまざまですが、その一例が自動車の側面衝突シミュレーションです。実際の実験と同じように変形形状を再現できるほか、実験では観察しにくい内部の破壊状態も、シミュレーションなら詳細に確認することができます。

シミュレーション画面
実験では観察しにくい破壊状態も、シミュレーションなら可視化が可能

住山:対象はフラスコ内に収まるような小さなものから巨大なプラントまでさまざまですが、私は特に環境・機能材分野を扱うことが多いです。ただ、TOYOBOは扱う製品や技術の幅が広いため毎日が学びの連続ですね。

フーちゃん

フーちゃん

お仕事で心がけていることは何ですか?

住山:まずは相談に来られる方々としっかりコミュニケーションを取って、製品や技術への理解を深めることです。また、結果を示すだけでなく、対話を通じて「相手が本当に解決したい課題」を引き出すことも大事にしています。

オー太

オー太

課題解決にはコミュニケーションが欠かせないんだね。

住山:そうですね。しっかりお話を聞いた上で課題を解決し、喜んでもらえるとすごくうれしいですし、そうした経験を積み重ねられるのもこの仕事の魅力だと思います。

コミュニティの広がりがプラスチック成形加工学会「若手奨励賞」の受賞につながった

フーちゃん

フーちゃん

学生時代は基礎研究をする研究者を目指していたんですよね。シミュレーションセンターでは基礎研究もできるんですか?

住山さんのポートレート

住山:はい。ここでは昔から「社内の課題を解決すると同時に、研究者としても成長し続けなさい」という考え方が受け継がれていて、今の上司からも「自分はどんな研究者でありたいかという意識を持ち続けてほしい」と言われています。なので、社内の課題解決と社外との共同基礎研究、この2つが私の仕事の軸になっています。

オー太

オー太

社外の研究者と一緒に研究する機会も多いんですね。

住山:そうですね。私にとってシミュレーション技術は、社外の研究者と対話するための道具であり、“共通言語”のような存在です。多くの研究者と議論できることは、大きな刺激になっています。

オー太

オー太

共同基礎研究に取り組む中で、ご自身の成長につながった経験はありますか?

住山:入社してすぐ、大規模な産官学連携プロジェクトに参加できたのは幸運でした。最初は皆さんのディスカッションについていくのが精いっぱいでしたが(笑)、必死に勉強するうちに、少しずつ理解できるようになって、自分の成長を実感できる機会にもなりました。
一番よかったのは、この経験をきっかけに大学の先生や社外の方々とのネットワークが一気に広がり、外部のコミュニティを形成できたことです。同じ研究課題に取り組む仲間が増えて心強さを感じましたし、定期的な会合では他愛ない話で盛り上がるなど、大学の研究室時代に戻ったような気分でした。

フーちゃん

フーちゃん

そのつながりは、その後の研究にも生かされたのですか?

プラスチック成形加工学会「若手奨励賞」授賞式
授賞式の様子(左:プラスチック成形加工学会 扇澤会長、右:住山さん)

住山:はい。プロジェクトを機に、「構造部材の設計に資するランダム配向型CFRPの曲げ強度予測モデルの開発」(※3)というテーマで複数の論文をまとめたところ、プラスチック成形加工学会 第8回(2025年度)「若手奨励賞」(※4)をいただきました。
私は入社3年目から同学会の委員として活動し、大会実行委員なども務めてきました。こうした一連の活動実績も評価していただけたと感じており、大きな励みになりました。

オー太

オー太

これまで論文を執筆する過程で苦労したことはありましたか?

住山:一番苦労したのは、研究内容を英語で分かりやすく伝えることです。誰が読んでも誤解なく理解できるよう、文章だけでなく裏付けるデータをそろえることにも苦労しました。

オー太

オー太

その努力が実を結んで受賞につながったんですね! おめでとうございます! 

※3:CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)の略称。炭素繊維強化プラスチック

※4:2026年6月26日付 当社ニュースリリース当社研究所員がプラスチック成形加工学会 第8回「若手奨励賞」を初受賞

社内の課題解決と基礎研究、その両輪で成長し続けたい

フーちゃん

フーちゃん

今はどんな研究をしているんですか?

デスク作業をしている住山さん

住山:今は以前から取り組んでいる共同研究を継続しています。プロジェクト自体は終了しましたが、まだ課題が残っているため引き続き進めています。この研究に一区切りついたら、次は自分で新しいテーマを立ち上げたいと考えています。

オー太

オー太

もう次のテーマを見据えているんですね。

住山:はい。でも、私の場合は、仕事が基礎研究だけだったら長くは続けられなかったと思うんです。基礎研究は成果が実を結べば社会に大きなインパクトを与えますが、実用化までの道のりはとても長いですから。

フーちゃん

フーちゃん

確かに、成果が出るまでに何十年もかかることもあるわよね。

住山:その点、社内の課題解決は比較的短いスパンで成果につながりますし、相談してくださった方に喜んでもらえると大きな達成感があります。それが日々のモチベーションにもなっています。一方で、基礎研究に取り組むことは自分の成長につながり、その経験が日々の業務にも活きています。

オー太

オー太

社内の課題解決でやりがいを感じながら、基礎研究で研究者としても成長できる。その両方があることが住山さんの原動力なんだね

次世代を育てる、挑戦できる環境づくりを

オー太

オー太

住山さんの今後の目標を教えてください。

住山:シミュレーションセンターのリーダーとして、「守り」と「攻め」の両面からTOYOBOの活動を支えていきたいです。守りの面では全社のモノづくりを支える機能として着実に貢献すること。攻めの面ではシミュレーション技術を産官学連携で深化させ、社外への発表も積極的に行っていくつもりです。

研究資料を読む住山さん

住山:その実現に向けて、特に力を入れたいのが人材育成です。メンバーには社内だけでなく、社外にもコミュニティを持てる研究者に育ってもらいたいと考えています。メンバーの成長や研究成果は、私にとっても大きな喜びです。そのため、次は若手メンバー向けのテーマとして、シミュレーションと機械学習を融合した研究を立ち上げることができればと思っています。

二人:シミュレーションセンターの未来に期待しています。今日はどうもありがとうございました!

住山さんのポートレート

住山:こちらこそ、ありがとうございました。

※本記事の内容および組織名等は取材当時のものです。

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