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一ノ瀬文香さんと語ったLGBTQ+のこと〜お互いに認め合える社会をめざして〜

一ノ瀬文香さんと語ったLGBTQ+のこと〜お互いに認め合える社会をめざして〜
フーちゃん

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TOYOBOはいろいろな考えをもつ従業員が、誇りとやりがいを持ってたくさん活躍できることを目指していて、ダイバーシティ推進に積極的に取り組んでいます。

カンビー

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今日はその中でもLGBTQ+について語り合ってみようと思います。

フーちゃん

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スペシャルゲストが来てくれたわよ。タレントの一ノ瀬 文香(いちのせ あやか)さん!

カンビー

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一ノ瀬さんはタレント活動をしながら、メディアを通じて国内外のLGBTQ+に関する情報発信を行っていて、企業や自治体で講演会なども行っています。みんなが自分らしくいられて、多様性(ダイバーシティ)を認め合える社会をめざしているんだよね。

フーちゃん

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それでは、一ノ瀬さんとTOYOBOダイバーシティ推進グループメンバーとの対談を始めましょう!

Index目次

メンバー紹介

全員集合の写真
右から一ノ瀬さん、手塚さん、内山さん

一ノ瀬 文香さん

一ノ瀬文香さんの写真

一ノ瀬 文香(いちのせ あやか)さん
NHK総合やEテレ、TBS系列「サンデージャポン」、インターネット報道番組「ABEMA Prime」などに数多く出演。

LGBTQ+についても積極的に情報発信し、講演や啓発活動、性的マイノリティの権利向上に尽力。多様性と共生の大切さを伝え続ける姿勢が多くの共感を呼んでいる。自叙伝「ビアン婚。」も話題に。
mother ha.ha所属タレント。

TOYOBOメンバー

手塚さんのポートレート

手塚 雅子(てづか まさこ)さん
東洋紡株式会社 人事・労務総括部 労務部 ダイバーシティ推進グループ マネジャー

ダイバーシティ方針策定、実務担当者研修の開催など幅広い施策を行う。最近では通称使用の拡大と同性パートナーシップ・障がい者雇用・外国籍社員のコミュニティ構築など会社の多様性に注力し、使命感をもって取り組んでいる。

内山さんのポートレート

内山 幸子(うちやま ゆきこ)さん
東洋紡株式会社 人事・労務総括部 労務部 ダイバーシティ推進グループ

営業部門から1年前に異動。高いコミュニケーション力でプロジェクトを動かしている。

「はじめまして」だけど、ご近所さんだった!

フーちゃん

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一ノ瀬さんは宇都宮出身って聞きました~。

カンビー

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やっぱり餃子は好きですか?

一ノ瀬さんの写真

一ノ瀬:はい、もちろん!近所に知る人ぞ知る餃子屋さんがあって、よく通ってました。メニューは焼餃子と水餃子しかないのだけれど、すごくおいしいんです。

手塚:いいですね~、TOYOBOのフィルム工場も宇都宮にあるんですよ。

手塚さん、内山さん、一ノ瀬さんの写真

一ノ瀬:私が住んでいたのは小学校から高校までですが、ご縁がありますねー。

「なぜ、鬼ヶ島のオニは、退治されなきゃいけないの?」

カンビー

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ねえねえ、子どもの頃の一ノ瀬さんはどんな子だったの?

一ノ瀬さんの写真

一ノ瀬:ちょっと不思議な子でしたよ(笑)。世の中のいろんなことに「なんでだろう?」って疑問をもつような。
たとえば、昔話の桃太郎が、鬼ヶ島へオニ退治にいくでしょ。オニはなぜ悪者なの?とか、オニに対しては暴力ふるっていいの?とか。

内山:たしかに、話のなかでオニは悪いことをしていませんでしたね。

一ノ瀬:はじめからオニは悪者と決められていたんです。いろいろな時代背景があったことは成長してから分かりましたが。

手塚:世の中には、「こうあるべき」という決めつけや思い込みがたくさんありますからね。

手塚さんと内山さんの写真

一ノ瀬:男の子は強くなければ。女の子はおしとやかに。そんな性役割(性別に対して社会が期待する役割)への感覚も、他の人とは共感できない子でした。
私自身、「男らしい」とされる要素を多くもっていましたからね。個人のキャラクターとは無関係に、役割を押し付けられるのは変だなと。
「LGBTQ+」という言葉もまだない時代でしたから、そんなことを考える人も少なかったと思います。

LGBTQ+について知ろう

カンビー

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LGBTQ+って、どういう意味なの?

フーちゃん

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セクシュアルマイノリティ(性的少数者)の各名称の頭文字を組み合わせた言葉で、性的少数者の総称の一つよ。

一ノ瀬:ほんの一部の人たちと思われるかもしれませんが、国内の比率としては全人口の約8〜10%(※1)と言われてます。日本の人口に当てはめると約1,200万人、それって全国の小中学生の数(約908万人)より多いんです。
カミングアウト(本人が「望んで」性のあり方を特定の人やグループに伝えること)する人が少ないから分からないだけで、周囲にLGBTQ+の人はいるはず。まずは、そのことを心に留めておいてほしいです。
(※1)電通ダイバーシティ・ラボ「LGBTQ+調査」2023より、LGBTQ+の割合は9.7%(スクリーニング調査)

自分自身を受け入れられないって、つらいことだ

フーちゃん

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ほとんどの人は「自分はLGBTQ+です」と言いたくなかったり、言えなかったりするのね。

カンビー

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誰かからイヤなことを言われる不安や、言われた経験があるから?

一ノ瀬:そうですね。同時に、自分自身を受け入れられない人も多いです。ほとんどの人が「男は・女はこうあるべき」という思い込みのもと大人になるから、そうでない自分はおかしいのかなと悩んでしまう。

手塚さん、内山さん、一ノ瀬さんの写真

手塚:一ノ瀬さんご自身は、どうやって受け入れることができたのですか?

一ノ瀬:私はもともと他人と共感できないことばかりでしたから、「こうあるべき」という思い込みが少なかったんです。
高校3年で女子に初恋したときも、自分の自然な感情だと受け入れることができた。まあ、受け入れてあげないと自分が壊れそうだったという方が正確ですが。

LGBTQ+の人たちが、働くうえで困っていること

内山:カミングアウトしたくないけど、毎日長い時間をすごす職場となると、なおさら問題は深刻ですね。

内山さんの写真

一ノ瀬:ほとんどの人が「職場の人達に知られたら、そこにはいられない」と考えています。同僚から差別的な言葉を使われたり、会社から不当な扱いを受けるのではないかと。実際そういうことは多く起こっているんです。

手塚:ニュースでもよく取り上げられていますからね。

一ノ瀬:でも、ひたすら隠すためには、普段の会話でも気が抜けない。休日の話題、家族のこと、趣味のこと、何かのきっかけで周囲に知られるんじゃないかと思うと、コミュニケーションにも支障が出るし、仕事にも悪影響を及ぼす。いいアイデアがあっても、人と違うと思われたくないから黙っておこうとなる。

一ノ瀬さんの写真

手塚:周囲に知られると言うことであれば、アウティング(本人の「同意のない」性のあり方の暴露)も問題として取り上げられますが、当事者にとっては重大な問題であり、人権問題であるとも考えられます。

手塚さんの写真

一ノ瀬:セクシュアリティ(性的なあり方に関わること全般)は、先天的に決まっているものとされていて自分の意志では変えられないのに、それを否定したら存在の否定に繋がります。
「彼氏はいるの?」とか、悪気のない一言でも当事者にとっては答えに困ってしまうんですよね。

課題解決には、制度と風土の両方を変えていくことが大切

フーちゃん

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気づかないうちに、当事者の人を傷つけているかもしれないってことね。

カンビー

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どんなことに気をつけたらいいのかな?

一ノ瀬:まずは、みんなが思い込みや先入観を自覚すること。もし、分からないことがあれば、相手を尊重したうえで尋ねる。自分の意見を押しつけず、耳を傾けることが大切です。

一ノ瀬さんの写真

手塚:それって、実はコミュニケーションする上で当然のことでもあるんですよね。LGBTQ+に限らず、みんなが精神的に成熟していけば、問題は起こりにくくなると思います。

気をつけたい表現

NG表現

適切な表現

彼氏・彼女

パートナー

男らしい・女らしい

○○さんらしい

普通は
(当事者以外の人をさして)

一般的には

ホモ・オカマ

ゲイ

レズ

レズビアン

フーちゃん

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会社としては、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?

一ノ瀬:講演会でいつもお伝えしているのは「制度と風土」の両方を変えていくこと。
制度は、たとえば多目的トイレや名刺に通称名が使えるなど、ルールのことです。日本人はみんなと合わせたい傾向が強いので、制度を変えることは有効な方法。風土は意識を変えていくことなのでとても大切なのですが、時間がかかります。
でも、その両方を改善することで、従業員みんながより良いコミュニケーションがとれる環境になっていくんです。

内山:先日、「レインボーフェスタ!」(セクシュアルマイノリティの人々やその支援者たちが集い、交流し、互いを認め合う場。関西地域最大級のイベント) のパレードに初めて参加してきました!沿道の方たちが笑顔で「ハッピープライド!」(※2)と声をかけてくれたり、上司が応援に来てくれたので思わず手をふったり、とっても温かい雰囲気でした。組織の中でも、こんな気持ちでお互いに向き合えたらいいのにと感じましたね。
(※2)セクシュアル・マイノリティのパレードでイベントを祝福する掛け声

レインボーフェスタでのパレードの写真
レインボーフェスタ参加時の様子

外部評価につながった、TOYOBOの取り組み

フーちゃん

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一ノ瀬さん、TOYOBOは「PRIDE指標2024」(※3)で最高評価「ゴールド」を獲得しました!

PRIDE指標2024「ゴールド」のロゴ
(※3)PRIDE指標とは、職場における性的マイノリティ(LGBTQ+)への取り組みに対する評価指標。行動宣言、当事者コミュニティ、啓発活動、人事制度・プログラム、社会貢献・渉外活動の5つの指標で採点される。
カンビー

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それって、すごいことなの?

一ノ瀬:プロジェクトスタートから2年目で、すごいことですよ!

一ノ瀬さんの写真

内山:当社は製造業なので、工場の更衣室やシャワー室など男・女で分かれている施設はたくさんあるんです。

手塚:LGBTQ+層が約8~10%ということは、どの職場でも他人事ではないはず。
会社として、当事者の方へ肯定的なメッセージを届けたいという思いが原動力になりましたね。

内山さんの写真

内山:ただ、そうなると当事者ではない人で不安になる人もいて、「トイレは何種類作るの?」とか「女子更衣室は今までどおり使えるの?」とかいろんな意見をもらいました。

手塚:だから、両方の立場が安心してもらえるように、会社の方針をしっかり表明しようと。それが10月にリリースした「LGBTQ+ガイドライン」です。企業内でダイバーシティを進めている以上、企業活動に貢献しないと意味がない。そのためには、会社の立ち位置は常にニュートラルであるべきと、改めて考えさせられましたね。

手塚さんの写真

一ノ瀬:慣れていくと変わってくるでしょうね。人はまだ起きていないことに対して一番不安を感じるものですから。

手塚:そうですね。そういった考え方にみんなが慣れてきて、いつか特別なことをしなくてもいいようになるのが一番なのでしょうね。

一ノ瀬:まさに風土改革。制度を整えて、だんだんと意識を変えていくことで、風土も変わっていくと思います。

一ノ瀬さんの写真

●東洋紡グループの主な取り組み
「PRIDE指標2024」で最高評価「ゴールド」を獲得
・相談窓口の設定
・通称名使用の拡大
・実務者研修
・標準服のユニセックス化
・ジェンダーレストイレ
・社内啓発活動
・LGBTQ+ガイドライン策定
・同性パートナーシップ
・ALLYステッカー作成
・海外出張や駐在時に関する注意喚起(国によりLGBTQ+が処罰や厳罰の対象となる国の周知等)
・健康診断の受診環境への配慮

異なる意見、多様な人材の存在価値を認め合い、高い目標へ力を合わせて努力する

フーちゃん

フーちゃん

ダイバーシティ推進グループのお二人は地道に粘り強く取り組んでいますよね。

内山:でも、当初は何から始めればよいのか分からず・・・。グループメンバーに相談をしていく上で、 「PRIDE指標」取得に挑戦してみよう!ということになりました。
大きく5つの評価項目があり、当社が既に取り組んでいる項目と、取り組めそうな項目を整理するところから始めました。

内山さんの写真

手塚:結果として、改めて仕事とは人を成長させてくれるなと感じたことでもあります。何をどうしたらよいのかまったくわからず、最初は手探りだったけど、進めていくうちに「自分たちは、会社の立ち位置を決めたかったんだ」、それによって「TOYOBOで働くみんなが安心できて過ごしやすくなるように」と。自分たちのなかでも LGBTQ+に関してTOYOBOは何を目的に、何のために、ということがだんだん明確になっていきました。

一ノ瀬:社内からの反対はなかったのですか?

手塚:歴史のある会社ですし人数も多いですから、啓発活動はまだまだこれからだと思っています。
でも、私たちの上司はとても良く話を聞いてくれる人達なんです。世の中のLGBTQ+問題が今こうなっていて、他社はこんな状況で、人権問題として取り組む面やブランディングとしての価値などの説明をし、PRIDE指標の獲得を考えている、という話をした時、「良いことだから頑張って」と背中を押してもらいました。「会社を良い方向に」という思いが共有されているから、任せてくれているのかなと。

手塚さんの写真

内山:私たちの企業理念体系「TOYOBO PVVs」 のなかの「TOYOBO Spirit(9つの約束)」に、「多様性の確保・活用(Diversity):異なる意見、多様な人材の存在価値を認め合い、高い目標へ力を合わせて努力する」という言葉があるんです。
「TOYOBO PVVs」は一人ひとりに浸透しているので、意見や価値観の違いはあっても、受け入れていきやすいのではと思っています。

一ノ瀬:社内風土として、共通の認識があるのはとても大事です。

一ノ瀬さんの写真

手塚:まだまだこれからですけどね。誰かに「PRIDE指標を取れたから、これで活動は終わりなの?」と聞かれたけど、「いえいえ、終わりなんてないですよ」と(笑)。

内山:やっと会社の基本姿勢を打ち出した段階ですね。

手塚:PRIDE指標やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に関することは、時と共にアップデートしていく必要があるものですので、随時見直しや更新を行いながら、みんながより自分らしく活躍できる環境になればいいなと思っています。

一ノ瀬:私、子どものころからイソップ童話の『きたかぜとたいよう』(バーナデット ワッツ 再話/絵、もき かずこ 訳、西村書店)が好きだったんですよ。工夫して問題を解決するっていうところが。
LGBTQ+は近代最後の差別問題ともされていてまだまだ課題が多いですが、全員で工夫して尊重しあうことで全員がハッピー!となっていきたいですね。

一ノ瀬さんの写真

全員:今日はとても有意義な時間でした。ありがとうございました。

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