“新しい”が生まれる場所、総合研究所に行ってみた! 〜個性豊かな研究員が集結!イノベーションの最前線へ〜
ハカセ
TOYOBOの「総合研究所」が何をしているところか、オー太くんは知っていますか?
オー太
うーん……名前からして何か新しいモノを発見したり創ったり?
ハカセ
ざっくり過ぎるけどその通り。TOYOBOの研究開発活動の中核拠点で、各領域の最先端をいく研究が行われているのデス。滋賀県大津市の堅田(かたた)という町にあります。
オー太
それって琵琶湖の近くだよね。観光しつつ訪ねてみよう!
Index目次
総合研究所がある堅田ってどんなところ?
オー太
堅田駅到着!京都から電車で20分ぐらい、思ったよりも近かったね。
ハカセ
駅構内にTOYOBOの大きな広告がありますヨ。
オー太
ほんとだ! なんだか歓迎されているみたいで嬉しい。
ハカセ
堅田は琵琶湖西岸の風光明媚な町として知られていて、かつては松尾芭蕉や一休さんも訪れたらしいデス。
ハカセ
一番の見どころはやっぱり「琵琶湖」。遠くに見えるのが「琵琶湖大橋」デス。
オー太
これが堅田のシンボル、日本遺産でもある満月寺か。湖面に浮いているかのように見えることから「浮御堂(うきみどう)」と呼ばれていると……フムフム。
ハカセ
ここは1000年以上の歴史を持つ「神田神社」。毎年春に執り行われる例祭では総合研究所員たちがお神輿を担ぐそうデスよ。
合言葉は「イノベーションを堅田から世界へ」
ハカセ
どうやらここが総合研究所みたいデスね。
オー太
着いたー! あっ、誰かいるぞ?
入夏:こんにちは、今日は私が所内をご案内しますね。
二人:よろしくお願いします!
入夏:総合研究所の始まりは、1931年に設立された東洋紡績化学研究所です。
TOYOBOの事業所の中でも特に歴史が長く、今はリニューアル工事の真っ最中。すべて完成したら、今よりもさらにイノベーションを体現するような研究所になると思います。
ハカセ
楽しみデスね。ここではどんな研究をしているんデスか?
入夏:フィルム、バイオ、高機能素材・製品まで幅広い領域の研究が行われています。「Innovation starts here〜イノベーションを堅田から世界へ」を合言葉に、たくさんの研究員が新しい製品や技術を創り出そうとがんばっていますよ。
オー太
その研究現場、見てみたいです!
入夏:はい、ご案内しますね。
TOYOBOの心臓部、研究棟へ潜入!
新製品・新技術の開発を担うパイロットプラント棟
入夏:こちらは2023年に完成したパイロットプラント棟です。新しい製品や技術を実用化するための、試作品の開発や実験などを行う施設です。
ハカセ
研究員の方を発見!ちょっとお話聞かせてください!
「絶対に製品化する」強い思いが原動力に
ハカセ
加藤さんはどんな研究をしているんデスか?
加藤:新しい接着シートの研究開発をしています。今研究している接着シートは、身近な例で言うとパソコンやスマホなどの中にある電子基板に使われています。用途柄、貼る前は軟らかい状態にしておいて、貼った後に時間をかけて加熱し固める、つまり硬化させる必要があるのですが、私たちは「接着後に硬化がいらないシート」を開発しました。さらに、従来品は、常温で置いておくと徐々に固まって接着ができなくなるため、冷蔵で保管する必要があるのですが、開発品は、常温保管でも接着が可能なことも特長です。
ハカセ
硬化や冷蔵保管が不要ということはCO2削減にも役立ちますね。研究はどんな形で進んでいったんデスか?
加藤:名古屋工業大学とTOYOBOとの共同研究で「ビトリマー(Vitrimer※)」という新しい樹脂を接着シートに応用してみよう、という話をし、総合研究所での研究がスタートしました。私はそのタイミングで入社して、以来このシート一筋です。苦労もありましたが何とかサンプル品の完成までこぎつけて、お客さまから高評価をいただけたときはすごく嬉しかったです。
※「Vitrimer」はFONDS ESPCI PARISの登録商標です。
ハカセ
まだ世にないものを創るって、すごく大変だったんじゃないデスか?
加藤:正直、心が折れかけたこともありました(笑)。3回目の試作のとき、1〜2回目ではちゃんと出ていた性能がなぜか出なかったんです。そこから3ヶ月ぐらいはひたすら原因追究の日々でした。考えられる原因をひとつずつ潰していくのは大変な作業でしたが、突き止めたときは本当にスッキリしました。
また、普段、実験室で作るサンプル量は200gほどですが、それでうまくいけば次はパイロットプラント棟で20kgに規模を大きくした試作実験を行います。このとき大量のサンプルを作るのが体力的にもかなり大変で……。しかも一度で思い通りの結果にたどり着けることはほとんどなくて、新しい接着シートも5回は試作しました。
でも、この技術は社会に貢献するすごいものなんだと確信していたので、「絶対に製品化するんだ!」という気持ちで頑張りました。チームでの助け合いや研究所のフォローも大きな力になりました。
オー太
新製品はトライ&エラーとチームワークのたまものなんだね。
研究開発をサポートする分析センター
入夏:次は分析センターです。ここでは、高度な分析技術によって全社の研究開発をサポートしています。
オー太
分析のプロってどんな人たちなのかなぁ(ワクワク)。
分析×法規制対応のスペシャリスト目指して
ハカセ
分析センターの役割を教えてください。
藤井:研究開発部門や生産、営業といったさまざまな部署から相談を受けて、製品に関する不明点や優位性の解明、トラブルの原因究明などを行っています。いわばTOYOBO全体の事業活動や研究開発を支える部門ですね。ありとあらゆる自社製品を扱うので、常に製品知識や分析知識のアップデートを心がけています。どんな相談にもすぐ対応できるよう、「今後こんな相談が来るかも」と先読みして、新たな分析方法を開発しておくように取り組んでいます。
ハカセ
困ったときの駆け込み寺のような存在デスね。藤井さんの主な担当分野は何デスか?
藤井:リサイクル原料や製品の分析です。TOYOBOにおいても世界的にもリサイクル原料の使用促進は必須なので、データから使用されている製品の安全性を示し、開発や販売に貢献するための分析技術の開発に取り組んでいます。こうした分析技術はまだ確立されておらず、どこまで分析すれば安全と言えるのか、多くの研究者が悩んでいる状況です。
どこまでが安全なのかを知るには、各国の法規制を理解しておく必要があるので、私は法規制や毒性情報の調査にも力を入れています。難しいですが、分析と法規制の両方に明るい専門家は少ないので、自分がそうなれるよう、やりがいを感じながら勉強を続けています。
オー太
分析と法規制の両輪ってすごい!分析センターも、藤井さんも、ますます頼りがいのある存在になりそう!
藤井:もともと、結果や先行きが見えないものにトライするのが好きなんです(笑)。以前、新しい分析技術を確立して結果を出したときに、相談者の方に「感動した!これで生産条件を最適化できる!」と喜んでいただけたことがあります。役に立てたと実感できて、本当にうれしかったですね。今後も挑戦を重ねて、TOYOBOの製品の開発・拡販に貢献していきたいです。
「CATAROSEV®」(カタロセブ®)を生み出した生命科学分野の最前線!
入夏:次は生命科学分野の研究現場にご案内しますね。ここで「CATAROSEV®(以下、カタロセブ®)」という画期的なキットが生まれたんですよ。
オー太
か、かたろせぶ…? それって何?
向上心と負けん気で医療分野の革新に挑む
ハカセ
「カタロセブ®」について教えてください。
井上:血液や尿、涙などあらゆる体液中に含まれる、エクソソームという物質を精製するためのキットです。エクソソームはまだ基礎研究の段階ですが、世界中で活発な研究が行われていて、がんを始めさまざまな病気の診断や治療、再生医療などへの応用が進められています。
「カタロセブ®」の最大の特長は、既存の技術では数時間から数日かかるエクソソーム精製が30分以内でできること。作業が簡単で、大きな装置がいらない点も強みです。私たちのチームでは、東京大学の瀬尾尚宏特任准教授との共同研究で「カタロセブ®」の開発を進めてきました。現在も、2025年の上市を目指してチーム一丸で取り組みを続けています。
オー太
井上さんは生命科学分野がご専門ですか?
井上:今の担当は生命科学分野ですが、大学時代は化学を専攻し、入社後しばらくはフィルム開発を担当していました。なので、この開発に従事した2021年当初は、「細胞って何?」「遠心機ってどうやって使うの?」みたいな、ほぼ知識ゼロからのスタートでした。
そのため、一から勉強しないといけないことが多く、教科書レベルの本を読んだり、分野に詳しい方々に相談したりしながら進めています。皆さんが懇切丁寧に教えてくれて本当にありがたいですね。
今では、開発した新技術を製品に落とし込んでいく過程や、社内外に発信・提案していく過程にやりがいを感じています。「カタロセブ®」を国内外の学会で発表した際には各方面から大きな反響をいただけて、さらにモチベーションが上がりました。
ハカセ
ほぼゼロから勉強するって、よっぽど熱意がないとできないデスよね。
井上:私の場合、負けん気がベースになったと思います(笑)。自分に知識がないために関係者と議論できないのが悔しくて、早く自分をブラッシュアップしたいという思いが原動力になりました。今後も、社内外の研究者の方々と意見交換しながら、エクソソーム研究の発展に貢献していきたいです。
入夏:研究現場の紹介はここまでです。ここからは、研究員を支え見守る、総合研究所おすすめのスポットをご紹介しますね。
二人:お願いしまーす!
イノベーションを支えるさまざまな施設を紹介!
キャリアを支援する企業内保育園「おーきっず®」へ
入夏:ここは総合研究所内にある社員のための保育園です。0〜2歳のお子さんをお預かりしています。
オー太
親御さん発見! 特に助かっていることは何ですか?
薗田:勤務場所から近くて送迎が楽なので、朝や帰宅後にゆっくりと過ごせています。子どもも、ここに通うようになってから自分で着替えができるようになって、成長を感じています。
中川:子どもが熱を出したときなどにすぐ迎えに行けるので、安心感がありますね。「おーきっず®」のおかげで、育休からも、時短勤務からフルタイムへも、早く復帰できました。
ハカセ
小さなお子さんがいる社員も集中して働くことができる環境が整っているんデスね。
湯川秀樹博士も訪れたゲストハウス「求是荘(きゅうぜそう)」
入夏:こちらは社外の来訪者をおもてなしするゲストハウスです。現在の建物は改装後のものですが、元は1960年に建てられ、1961年には日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士も来訪されました。
入夏:求是荘では、「知魚楽」の1つの解釈として「完全に証明(肯定)できるものしか信じないのが科学だが、完全に否定できないことを排除しない視点がなければ、科学は発展しない。」と併記しています。
ハカセ
尊敬する湯川博士も来訪されたとは! それに、琵琶湖の眺望がすばらしいデスな。あぁここに住みたい……。
総合研究所を見守り続ける2本の大木
入夏:最後は総合研究所の癒しスポット、推定樹齢約300年の「ツブラジイ」という大津市指定保護樹木と所内神社です。
オー太
うわー、大きいーー!
入夏:隣には、こちらも指定保護樹木である推定樹齢約150年の「クスノキ」もあります。
ハカセ
総合研究所の開所以来、ずっと見守ってくれているんデスね。
入夏:研究員の方々にとっては、研究施設はもちろん「おーきっず®」や「求是荘」も、歴史ある樹木や神社も、研究への刺激や働きやすさにつながっているようです。
ハカセ
総合研究所には、イノベーションが起きやすい環境があるんデスね。
入夏:これからも、すべての研究員が研究に集中できて、新しいアイデアをどんどん生み出していけるような環境を作っていきたいと思っています。
ハカセ
ここから次にどんな新しい製品や技術が生まれてくるか、楽しみデス。
オー太
僕も楽しみです! 入夏さん、今日はありがとうございました!
入夏:こちらこそありがとうございました。
探訪の締めくくりにちょっと寄り道、そして……
人を大切にする“TOYOBOらしさ”を力に
ハカセ
総合研究所探訪、楽しかったデスね。打ち上げを兼ねて堅田で一杯やっていきますか。
オー太
素敵なイタリアン発見!ここにしよう。「Cafe Dining SYNC」さん。
オー太
照明もオシャレで、いい感じ〜。
オー太
あれ? どこかで見た人たちがいない?
オー太
あれ!? 入夏さん? 加藤さん、藤井さん、井上さんも!!
入夏:あっハカセくんとオー太くんだ!
ハカセ
さきほどはどうも。ここで出会ったのも何かの縁。一緒に飲みましょう!
全員:かんぱ〜い!
オー太
皆さんは、よく一緒に飲まれるんですか?
加藤:私は入夏さんと一緒に飲んだことがあります。総合研究所の寮を通じて仲良くなって。
入夏:そうなんですよ。それと私、藤井さんとは同期入社です。井上さんとは初めましてですね。
井上:そうですね。藤井君とは一緒にジムに行ったことがあります。お互い筋トレ好きなので(笑)。
藤井:井上さんはめっちゃ優しいです。筋トレの話とか海外出張の話とか、よく聞かせてもらってます。
ハカセ
正直なところ、総合研究所ってどんな雰囲気デスか?
オー太
今後の夢なんかも聞きたいなぁ!
入夏:研究員の方々は皆さんすごく個性的なんですけど、同時に他者をとても大切にされている印象があります。全員がワンチームという感じですね。私も、皆さんがイノベーションを起こせるようサポートしていきたいです!
加藤:研究員の間に「力を合わせて新しいモノを創ろう」っていう姿勢が根づいている気がします。あと、お高い装置とかあって意外と設備がスゴい(笑)。研究職は私に向いているので、今後も広くアンテナを張って粘り強く研究を続けていきます。
藤井:ここでは、若手でも予想以上に裁量ある仕事を振られますよね。でも困ったら皆さんがフォローしてくれるし、部署間の垣根が低くて相談も議論もしやすい。僕も早く成長して会社に貢献したいです。
井上:常にボトムアップが求められる風土があるので、それに応えていきたいですね。あと最近、イノベーションは色々な分野の人が活発に議論し合う場から生まれるんだなと実感していて。僕も「人対人」を大事にしながら研究を進めていきたいです。
ハカセ
皆さんの意欲がイノベーションを創出している原動力なのデスね。
オー太
いい話が聞けたところでもう一杯おかわりー!
ハカセ
飲みすぎには注意デスよ、オー太くん(笑)
こうして堅田の夜は更けていくのであった……(完)。
#今回協力いただいたお店
Cafe Dining SYNC
滋賀県大津市今堅田2-12-17 ピアファイブビル1F
TEL:050-5484-7857
https://cafe-dining-sync-katata-shiga.gorp.jp
総合研究所員も足繁く通う、大人の隠れ家的カフェダイニング。イタリアンを中心とした料理とお酒が楽しめる。特にフレッシュモッツァレラのマルゲリータと近江牛のグリルは絶品です。
総合研究所
滋賀県大津市堅田2-1-1
TEL:077-571-0001
https://www.toyobo.co.jp/company/access/about_kt.html
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by TOYOBOとは
TOYOBOの体温を感じる
現場の「声」をお伝えします
TOYOBOの体温とは、世の中の課題解決に挑むTOYOBOで働く人々の日々奮闘する様子やプライドを持って働く熱意です。 なかなか世の中に出ない製品誕生の裏側から、TOYOBOで働く人々の日々のコミュニケーションや暮らしなど、関係者の体温がこもった「声」をお伝えします。