新一万円札の顔「渋沢栄一」と東洋紡ってどんな関係?東洋紡歴史クイズ
ハカセ
カンビーくんは渋沢栄一を知っていますか?
カンビー
どこかで聞いたことがあるような……誰だっけ。
ハカセ
2024年7月に発行される新一万円札の顔になる人です。
カンビー
お札になるなんて、きっとすごいことをした人なんだね。
ハカセ
そう、NHK大河ドラマの主人公にもなった人物です。
そして、東洋紡とも深ーい関係のある人物なんですよ。
カンビー
えっ、じゃあぼくたちの仲間なのね。渋沢さんのこと、もっと知りたいな。
ハカセ
そんなカンビーくんのために、今回は渋沢栄一と東洋紡の関係が分かるクイズを出題しますよ。題して、東洋紡歴史クイズ!
カンビー
わあ、がんばろう。みんなも一緒に何問正解できるかチャレンジしてね。
このクイズの登場人物
カンビー
おっとり、まったりしている癒し系の男の子。カンビーの周りだけ時間の流れがゆるやか。今回はハカセと一緒に東洋紡の歴史クイズに挑戦する。
解説者:楢原 誠慈(ならはら せいじ)
1988年に東洋紡績株式会社(現・東洋紡株式会社)入社。2014年に代表取締役社長、2021年より取締役会長。渋沢栄一を心から敬愛し、阪神タイガースをこよなく愛する。
カンビー
この人は誰?
ハカセ
えっ......! カンビーくん、この人を知らないんですか? 東洋紡の会長ですよ! 今回は東洋紡の歴史に詳しい楢原会長にクイズの解説をしてもらいます。
カンビー
へー!会長の楢原さんの解説も楽しみ!
全8問!東洋紡歴史クイズスタート!
問題1
ハカセ
これはカンビーくんもきっと耳にしたことがあるはず。
カンビー
こんなの簡単だよ。企業の設立に携わったんだから「B:企業設立の父」でしょ。
ハカセ
残念。正解は「A:日本資本主義の父」でした。
カンビー
えー、最初から難しすぎるんじゃない?
教えて!楢原さん!
1873年に大蔵省を退官した渋沢栄一は、自らが設立を指導した第一国立銀行(現・みずほ銀行)の総監役となります。それ以来、民間から広く資金を募り、日本経済の基盤となる多くの株式会社の創立・育成に努めました。近代日本経済の基礎をつくり、栄一自身が説いたのは「合本主義」。個々では大きくない資本を広く集めて事業を興し、利益を分配することで、みんながゆたかになることを望んでいたのですね。
問題2
ハカセ
ヒントは「ニセ札防止」。渋沢栄一は“ある特徴“がなかったために偽造しやすいと判断され、なかなか肖像化されませんでした。
カンビー
分かった。今までのお札の人は顔がコワいけど、渋沢さんはコワくない。「A:優しい顔立ちだったから」で決まりだね。
ハカセ
ちょっとカンビーくん、コワいなんて言ったら過去の肖像の人に怒られますよ。正解は「B:"ひげ"がなかったから」です。
カンビー
そうかあ。でも、なんでひげがないとお札になれなかったの?
教えて!楢原さん!
実は、60年ほど前にも渋沢栄一はお札の肖像の最終候補に選ばれたことがあるのです。しかし、当時はまだ紙幣の印刷技術が発達していない時代。“ひげ”のない肖像は偽造されやすいという理由で、残念ながら栄一は落選してしまいます。近年は印刷技術が向上して偽造が難しくなり、ひげの有無に関係なく功績を残した偉人が選ばれるようになりました。渋沢栄一もようやく“お札の顔”になることができたというわけです。
問題3
ハカセ
渋沢さんは多くの産業の基盤となる会社の設立に関わったそうです。
カンビー
500社も関わっていたら忙しくて寝るひまがなくなっちゃう。がんばっても「B:約100社」がやっとだよ。
ハカセ
渋沢さんを侮ってもらっちゃ困りますよ、カンビーくん。正解は「C:約500社」です。
カンビー
渋沢さんは働きものだったんだね。なぜこんなにたくさんの会社をつくろうと思ったんだろう。
教えて!楢原さん!
1867〜1868年にヨーロッパ各国を歴訪した渋沢栄一は、民間から資金を集めて巨大事業をなし、一国を支えるような産業を興しながら利益を生んでいることを知り、こうした動きが日本にも必要だと考えました。そこで自らがプロモーター(発起人)となり、後に日本の産業や衣・食・住の基盤となる会社の創立・育成に関わっていったのです。みずほ銀行、東京ガス、東京電力、JR東日本、王子製紙……その数はなんと全部で500社以上、日本のインフラの基礎を築くことを推進しました。東洋紡はそのうちの「衣」を担う企業として創立。こうして栄一は生涯にわたり、経済界全体の活性化に力を尽くしたのです。
問題4
ハカセ
山辺丈夫は東洋紡(1914年に大阪紡と三重紡が合併して発足)の初代社長となりました。これ、大きなヒントですよ。
カンビー
東洋紡の初代社長?じゃあC……いや、まてよ? もしかしたらひっかけ問題かも。答えは「B:西洋料理のシェフ」だ。
ハカセ
正解は「C:紡績技術者」。ひねらずに答えてくれていいんですよ、カンビーくん。
カンビー
うーん、考え過ぎちゃった。でも、いきなり勧誘するなんて渋沢さんも大胆だね。
教えて!楢原さん!
当時、渋沢栄一は日本に大規模な紡績会社を作るために、紡績技術者を育てたいと考えていました。そこで白羽の矢が立ったのが山辺丈夫です。旧津和野藩主の養嗣子・亀井茲明(かめいこれあき)の教育係として、丈夫は1877年に英国へ渡り経済学を勉強していました。が、栄一から紡績技術者への転身を勧められて、これを快諾。栄一は当時の金額で1500円、現在の価値にすると数千万円もの研究費を丈夫に送りました。
問題5
ハカセ
これはぜひともノーヒントで答えていただきたいですね。
カンビー
ハカセがクイズの最初に「深ーい関係」って言ってたよね。深いといえば親戚関係。だから「B:親戚が経営する会社」。
ハカセ
ブー。正解は「C:創立した会社」です。3問目の解説で楢原さんが「東洋紡も」って言っていたのに、聞いてなかったでしょ。
カンビー
うわーん、そうだった。渋沢さんがいなかったらぼくたちも生まれていないんだね。
教えて!楢原さん!
幕末からの木綿物の輸入の増加が、日本の貿易収支を赤字に導く原因となっていました。これを憂いた栄一は、国内でも高品質な綿糸・綿布を生産しようと、華族や東京・大阪の商人から資本を募り、1882年に東洋紡の前身となる「大阪紡績会社」を創立しました。そして、第四問で登場した山辺丈夫を工務支配人に迎え、自らは相談役となり、当時の日本では類を見ない大規模な紡績業を展開していったのです。
問題6
ハカセ
栄一は1921年に東洋紡社員の前で「道徳経済合一説」について語った後に、この言葉を書き記して贈っています。
カンビー
「道徳経済合一説」ってなあに?
ハカセ
「公益を追求する『道徳』と、利益を求める『経済』は、事業において両立しなければならない」。栄一の名著「論語と算盤」にも書かれている経営哲学で、第六問の正解の言葉にも通じていますよ。
カンビー
えーっと、難しい話だからきっと難しい漢字の言葉だね。答えは「B:臥薪嘗胆」。
ハカセ
はい残念。正解は「C: 順理則裕」でした。栄一は人としてあるべき姿を説いているだけで、決して難しい話ではないのですよ。
カンビー
“じゅんりそくゆう”なんて初めて聞いたよ。これって一体どういう意味?
教えて!楢原さん!
『順理則裕』は、北宋の儒学者・程頤(ていい)の言葉です。一般的な解釈は「道理に生きることが、すなわち繁栄につながる」。つまり「不誠実なことをせずに生きなさい」という意味ですが、当社訪問時に「道徳経済合一説」を熱弁した後にこの言葉を書いたことを踏まえると、私には栄一の深い想いが感じられます。それは「なすべきことをなし、ゆたかにする」。“不誠実なことはしないで”という受け身な言葉ではなく、“正しいことをして世の中をゆたかにしなさい”という、より能動的なメッセージです。この新たな解釈を企業理念とし、東洋紡は社会をゆたかにしながら自らも成長を続けています。
問題7
ハカセ
繊維からの進出という点がヒント。もともと繊維だったものが、新しい製品になりました。
カンビー
このなかに繊維だったものがあるの? えっと、「C:飲料事業」かなあ。
ハカセ
残念。東洋紡が進出したのは「B:フィルム事業」。食品包装などに使われる透明のフィルムですよ。
カンビー
悔しい。でも、なんで繊維からいきなりフィルム事業に進出したのかな?
教えて!楢原さん!
進出のきっかけは、当時は合成繊維として生産していた「ポリプロピレン」です。廉価で丈夫な繊維ですが、染色しづらい特性があり衣料用には不向きでした。そこで包装用フィルムとして使ってみたところ、水分を通さず強度も十分。福井県の敦賀にある工場で生産を始めたというわけです。そんなフィルム事業が現在では東洋紡のメイン事業のひとつとなっています。スーパーやコンビニなどで食品包装に使われるフィルムの多くは私たちの製品なんですよ。
問題8
ハカセ
東洋紡の歴史を振り返ってみてください。ここまでの問題に挑戦してきたカンビーくんなら、きっと分かるでしょう。
カンビー
なるほど、東洋紡は時代と共に変化してきたから……答えは「B:変化」!
ハカセ
大正解!カンビーくん、お見事です。
カンビー
やったー! 渋沢さんと東洋紡のことならぼくにまかせてよ。
教えて!楢原さん!
カンビーくんが言う通り、東洋紡の事業は天然繊維から合成繊維へ、さらに合成繊維の材料からフィルムやプラスチックへと形を変えてきました。近年ではPCR検査試薬など、バイオ技術の分野にも進出していますが、それは工場の廃液をきれいにするための技術から始まったもの。その時代に生きる人々のニーズを捉え、ひるむことなく挑む姿勢がこうした変化を生み、現在の東洋紡を作り上げたのです。もちろん、これからも私たちはどんどん変化していきます。皆さんも期待してくださいね。
皆さんは何問正解できましたか?
東洋紡歴史クイズ、楽しんでいただけたでしょうか? 現在の世界経済にも通用するサステナブルな思想を持つ人物が、100年以上も前の日本に存在していたことに、きっと驚かれたことでしょう。その思想は『順理則裕』の企業理念と共に、東洋紡役員・従業員の心に深く根付いています。2024年7月に新一万円札ができあがったときには、渋沢栄一と東洋紡の歴史を思い出してもらえるとうれしいです。東洋紡をもっと詳しく知りたい方は、こちらをぜひご覧ください。
【参考文献】
『常設展示図録 渋沢史料館』(2000年11月)
渋沢史料館:https://www.shibusawa.or.jp/museum/
「東洋紡グループ報」(2007年3・4月号、5・6月号)
『創業弐拾五年沿革略史』大阪紡績株式会社(明治41年10月)
東洋紡ウェブサイト 沿革:https://www.toyobo.co.jp/company/profile/history.html
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ハカセ
何でも知っている物知り博士。特にライフサイエンス分野が得意。分からないことはいつでも教えてくれる。今回はカンビーに渋沢栄一と東洋紡についてのクイズを出題する。